在宅介護

介護保険のすき間を埋める「地域の手」。社協・シルバー人材・ボランティア

介護保険のすき間を埋める「地域の手」。社協・シルバー人材・ボランティア

「ゴミ出しをちょっと手伝ってほしい」 「電球が切れたけど、高いところに手が届かない」 「話し相手になってくれる人が近くにいない…」

こういう小さな困りごと、介護をしている家族の方なら心当たりがあるのではないでしょうか。

じつは、こうした日常の小さな困りごとは、介護保険のサービスでは対応できないケースが多いのです。「誰かに頼みたいけど、誰に連絡したらいいか分からない」——そう感じている方のために、今日は介護保険の外にある”地域の手”をまとめてお伝えします。


とも
とも
今日は「介護保険では頼めないこと」を地域でカバーする仕組みの話をしますね。制度の外にも、実はけっこう頼れる手があるんです。
こまり
こまり
ゴミ出しとか電球替えって、介護保険でやってもらえないの?そんな小さいこと、誰に頼めばいいんだろう。
とも
とも
じつは、本人のゴミ出しのような"生活援助"は、ヘルパーさんもできるんですよ。ただ、家族の分の家事や、庭の手入れ、"話し相手だけ"みたいなことは対象外で。同居のご家族がいると、そもそも生活援助が使いにくいこともあります。そうやって制度の「すき間」に落ちちゃう困りごとが、在宅介護にはたくさんあるんです。

介護保険に「頼めないこと」がある

高齢女性がゴミ出しを手伝ってもらう温かな朝の場面

介護保険のサービス、たとえばヘルパー(訪問介護)は、本人の生活に直接必要なことに限定されています。

利用者本人の食事・入浴・掃除などは対応できますが、「家族の分も一緒に料理してほしい」「庭の草むしりをしてほしい」「ちょっと話し相手になってほしいだけ」といったことは、原則として介護保険の対象外です。

こうした”すき間”の困りごとは、日常生活のなかで意外と積み重なります。 一つひとつは小さくても、対応できる人がいないと家族がすべて背負うことになる——それが、介護をしている家族の「じわじわしんどい」につながっているのです。

訪問介護で頼めることとそうでないことについては、訪問介護ってなに?ヘルパーさんに頼めること・頼めないことでも詳しく解説しています。合わせて読んでみてください。


地域の手①:社会福祉協議会(社協)

社会福祉協議会(略して「社協」)は、ほとんどの市区町村にある、福祉の総合的な相談窓口です。名前に「協議会」とつくので行政の一部のようにも見えますが、実際は民間の団体(社会福祉法人)です。行政と手を組みながら、地域の福祉を支えている存在です。

何をしてくれるかは、地域によってかなり幅があります。買い物の同行や掃除といった生活支援を社協自身が行っているところもあれば、地域のボランティアや別のサービスにつないでくれるところもあります。そして、「どこに相談したらいいか分からない」ような暮らしの困りごとを、まず受け止めてくれる相談先でもあります。料金は無料〜低額のことが多いです。

なので、まずは「うちの地域の社協では、どんなことができますか?」と問い合わせてみるのが、いちばんの近道になります。

こまり
こまり
社協ってそんなことまでやってくれるんだ!ぜんぜん知らなかった。
とも
とも
意外と知られていないんですよ。「福祉協議会って名前は聞いたことあるけど、何をしてくれるのか分からない」という方は多いです。地域の福祉ボランティアを束ねているところでもあるので、まず相談してみると、いろんな手につないでもらえることがあります。

地域の手②:シルバー人材センター

シルバー人材センターは、おおむね60歳以上の元気な高齢者が、地域でできる仕事を担う仕組みです。 国の制度として全国に設置されており、各都道府県や市区町村に窓口があります。

お願いできる仕事は、家事の援助やちょっとした軽作業が中心です。

  • 買い物の代行・同行
  • 草むしり・庭の手入れ
  • 電球の交換、家具の移動、片付けといった家の中の軽作業

このあたりが代表的ですが、話し相手や外出の付き添いに応じてくれるところもあります。ただ、どんな仕事を引き受けているかはセンターによって差があるので、頼みたいことが決まったら「これはお願いできますか?」と聞いてみるのが確実です。

介護保険のヘルパーさんと違って、「本人の生活に直結しないこと」も引き受けてもらいやすいのが、シルバー人材センターの心強いところ。費用は有償ですが、一般の家事代行に比べると割安なことが多いです。


地域の手③:通いの場・地域サロン

地域サロンでお茶を飲みながら語らう高齢者たち

「外出が減った親が、誰とも話さない日が続いている」 そんな悩みには、地域の通いの場やサロンが助けになることがあります。

公民館や集会所、地域の団体などが運営する、高齢者が気軽に集まれる場所のことで、自治体や社協が支援しているケースが多いです。認知症のご本人とご家族が気兼ねなく過ごせる認知症カフェ(オレンジカフェ)も、その一つです。

お茶を飲みながら話す・体操をする・手芸や趣味を楽しむ——といったゆるやかな集まりで、介護サービスではないけれど、社会とのつながりを保つ大切な場になっています。

参加費は無料〜数百円程度のことがほとんどです。


地域の手④:民生委員

民生委員(みんせいいいん)は、その地域に住む、身近な相談相手・見守り役です。「地域のボランティア」と思われがちですが、実は厚生労働大臣から委嘱された、非常勤の特別職の公務員という立場を持っています(給与はありませんが、活動にかかる交通費などは支給されます)。

公務員としての立場があるということは、法律で守秘義務が定められているということでもあります。だから、相談した内容や個人情報が外に漏れる心配がなく、「近所の人には知られたくないけれど…」という悩みも、安心して打ち明けられる相手なんです。

日常の困りごとを聞いてくれるだけでなく、必要に応じて行政や専門機関につないでくれる橋渡し役でもあります。

「近所に頼れる親族がいない」「ひとり暮らしの親が心配で…」という場合、地域によっては、定期的な見守り活動を行っていることもあります。

「近くの民生委員が誰かを知りたい」という場合は、市区町村の窓口か、地域包括支援センター(地域包括)に問い合わせるのが一番スムーズです。

離れて暮らしていると、地域の様子が分からず不安になることもあります。そんなときは、実家の地域の民生委員さんや地域包括支援センターを知っておくと、いざというときの相談先として心強い存在になります。

こまり
こまり
社協・シルバー人材・サロン・民生委員…いろいろあるんだね。でも、どこに最初に連絡したらいいか迷いそう。
とも
とも
そこが大事なポイントなんです。最初から自分でひとつひとつ調べなくても大丈夫。「つないでくれる人」に頼めばいいんです。

頼み方:まずは「つなぐ役」に相談する

紹介した地域の手は、どれも地域によって名称・内容・費用がかなり異なります。 ネットで調べても「うちの地域にはあるの?」「実際どう使うの?」が分かりにくいこともあります。

そういうときは、「地域のことをよく知っている人」に聞くのが一番の近道です。

頼れる窓口はこの3つ:

  • 地域包括支援センター(地域包括):介護・福祉の相談を無料で受けてくれる、地域の総合窓口。65歳以上の本人や家族なら誰でも利用できます。
  • 担当のケアマネジャー:すでに介護保険を使っている場合は、担当ケアマネが地域の社協やシルバー人材との橋渡しをしてくれることも多いです。
  • 社会福祉協議会(社協):相談窓口そのものでもあるので、「どんなサービスがあるか教えてほしい」と連絡してみることもできます。

「こんなこと、小さすぎて聞いていいのかな」と遠慮しなくて大丈夫です。 こうした相談を受けることが、これらの窓口の仕事のひとつでもあります。


まとめ

こまり
こまり
つまり、介護保険に入らないような小さな困りごとは、社協・シルバー人材・通いの場・民生委員に頼れる。でも地域によって違うから、まずは地域包括かケアマネに「こういうこと頼める場所ありますか?」って聞けばいい——ってこと?
とも
とも
その通りです。完璧にまとめてくれました。

介護保険は大きくて頼りになる仕組みですが、日常のこまごまとした困りごとには、制度の外にある地域の手がよく合うことがあります。

「こんな小さいこと、誰かに頼んでいいのかな」と思っていたことが、社協やシルバー人材センターに相談したら、あっさり解決したというケースは少なくありません。

一人で全部抱えなくていいんです。

地域の困りごとを支える仕組みは、あなたが思っているよりそこに近いところにあります。 まずは、地域包括支援センターか担当のケアマネジャーに「こういうのって、どこかで頼めますか?」と気軽に声をかけてみてください。


よくある質問

介護認定を受けていなくても頼めますか?

はい。ここで紹介した社協・シルバー人材センター・通いの場・民生委員、そして地域包括支援センターは、いずれも介護保険の要介護・要支援認定がなくても相談・利用できます。「認定を受けていないと相談してはいけない」と思い込んでいる方が多いのですが、そんなことはありません。地域包括支援センターは、おおむね65歳以上の方とそのご家族なら、認定の有無にかかわらず無料で相談できます。

費用はどれくらいかかりますか?

サービスによって変わります。地域包括支援センターや民生委員への相談は無料、通いの場・サロンは無料〜数百円程度、社協の生活支援は無料〜低額のことが多いです。シルバー人材センターは有償ですが、一般の家事代行より安めの料金設定のことが多いです。ただし、料金は地域によって差があるので、利用前に確認してください。

離れて暮らす親のために、家族が代わりに相談できますか?

はい。ご家族からの相談も受け付けています。「遠方に住んでいて、親の様子が心配」という場合は、親御さんが住む地域の地域包括支援センターや社協に、家族が電話で相談できます。まずは電話で状況を伝えて、どんな手があるかを聞いてみるところから始められます。


地域の資源(社協・シルバー人材センターなど)の内容・料金・対応範囲は、自治体・社協によって大きく異なります。 実際にご利用になる前に、お住まいの地域の窓口でご確認ください。個別の段取りや手続きについては、担当のケアマネジャーまたは地域包括支援センターにご相談ください。

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とも 現役・主任介護支援専門員

現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。

この人について →

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