認知症カフェってどんな場所?家族が行くメリットと探し方
「認知症カフェ、名前は聞くけど、どういうところなんだろう」
「行ってみたいけど、どんな人が来ているんだろう」
認知症という言葉も一般的になり、認知症カフェという言葉も耳にしたことがあるかもしれません。
今日は、認知症カフェがどんなところなのかを整理します。そこで何をしているのか、どんな人が参加しているのか、メリットや参加の仕方まで、一つひとつお話していきますね。
認知症カフェって何をする場所?
お茶を飲みながら、認知症のことを話せる場所です。
別名を「オレンジカフェ」といいます。オレンジは、認知症啓発のシンボルカラーです。
開いているのは、自治体や介護事業所、NPOなど。月に1〜2回、地域の公民館や介護施設で開かれています。
参加するのは、認知症のあるご本人とご家族。近所の方が顔を出すこともあります。スタッフには、ケアマネジャーや看護師、保健師といった専門職がいます。
喫茶店と違うのは、認知症の話をしていい場所だということ。聞きたいことがあれば、その場で聞いて大丈夫です。
ただ、中身はカフェによってかなり違います。わたしが関わっていたところは、10数名ほどが集まって手作りのレクリエーションをして、「認知症とはこういうもの」「予防について」といった話を聞く場でした。
レクリエーションや講義は、その一部にすぎません。相談は、いつしても大丈夫です。聞きたいことがあるなら、その場で聞いていい場所です。
どんなふうに過ごす?
当日は、だいたいこんな流れです。
- お茶とお菓子を出して、みんなで雑談する
- 体操や手作りのレクリエーションをする
- 認知症のことを短く教えてくれる時間(ミニ講話)が入る
- また雑談にもどって、最後に質問の時間
これは一例です。何も決めずに、来た人が好きなように過ごすだけのカフェもあります。本人どうし、家族どうしで話す時間を大事にしているところや、介護しているご家族の相談の時間を、はじめから用意しているところもあります。
全体で2時間くらいが目安です。用事があるときは、途中で帰っても大丈夫です。
行くと、どんないいことがあるのか
介護の悩みには、調べても答えが出ないものがあります。カフェは、そういう話をしに行ける場所でもあります。
自分だけじゃない、と分かる
行ってよかった、と思えるのはここだと思います。
同じところで困っている人が、ほかにもいる。それが分かるだけで、抱えているものが少し軽くなります。「うちもそうなんです」と言ってもらえるだけで、けっこう救われます。
話すのが苦手でも大丈夫。聞いているだけでも十分です。行って、座って、聞いて、帰る。それだけでも意味があります。
専門職に、その場で聞ける
「これって認知症の症状なんでしょうか」「夜眠らないのを、薬で何とかできませんか」「きょうだいが介護に協力してくれなくて」。担当のケアマネジャーとの面談では言いにくいことも、お茶の席なら話せることがあります。
カフェには、ケアマネジャーや看護師といった専門職も来ています。聞きたいことがあれば、気軽に相談できます。
地域の情報が入ってくる
近所にいい医療機関ができた、あのデイサービスは評判がいい、介護用品を借りるならこういうところがある。ネットで調べても出てこない話を、その場で聞けることがあります。
笑える時間ができる
これが意外と大事です。介護をしていると、笑う時間が減っていきます。
ほかの参加者の話を聞いて思わず笑ったり、うなずいたり。帰るころには、少し気持ちが軽くなっています。
本人にとっても、人と会う時間になる
認知症になると、家族以外の人と話す機会が減っていきます。カフェに行けば、ご本人にとっても、家の外で人と会う時間になります。
「うちの親、まだ軽度だから…」と思ったら
認知症カフェだからといって、認知症の診断がなくても参加して大丈夫です。わたしが関わっていたカフェにも、もの忘れもなく元気な方々が参加していました。
もの忘れが少し気になり始めた頃から、一度行ってみるのもいいと思います。早いうちに顔を合わせておくと、あとで困ったときに相談しやすくなります。
症状が進んでからだと、ご本人が知らない場所を嫌がることがあります。そういうときは、無理に連れて行かなくて大丈夫です。まずはご家族だけで行ってみてください。
気になり始めた段階でできることは、「これって認知症?」と思ったら。MCI(軽度認知障害)で今できること にまとめています。
どうやって探す?
いちばん早いのは、「(市区町村名)認知症カフェ」で検索することです。市区町村のホームページが出てくることが多いです。見つからないときは「オレンジカフェ」でも調べてみてください。
人に聞くなら、地域包括支援センターが確実です。「うちの近くで認知症カフェをやっている場所を教えてください」と電話すれば、その場で教えてもらえます。市区町村の高齢福祉課や、担当のケアマネジャーも、同じように案内してくれます。
公民館にチラシを置いてお知らせしているカフェもあります。公民館はほかの催しや教室もやっていますので、足を運ぶと、別の集まりの情報も知ることができます。
行く前に知っておくと安心なこと
参加費は、無料のところもあれば、飲み物やお菓子の代金として100円から500円ほどかかるところもあります。わたしが関わっていたカフェは100円でした。
予約は要らないところが多いようですが、これもカフェによって違います。心配なら、電話で聞いてから行くと安心です。服装は普段着で構いません。時間は1回1〜2時間ほどで、出入り自由のところが多いです。
人数は場所によりますが、10数名ほどの、顔が見える大きさのところもあります。
「ちょっと覗くだけ」でも構いません。合わなければ次から行かなくていいですし、合う場所が見つかるまで、いくつか試してみてもいいと思います。
おすすめの参加スタイル
まずはご家族だけで行っても大丈夫です。ご本人を連れて行くための場所というだけでなく、家族自身のための場所でもあります。顔なじみができてから、ご本人と一緒に行くのもいいと思います。
専門職と顔つなぎをしておくと、あとで個別に相談しやすくなります。連絡先を交換できるご家族ができたら、それも心強いです。
無理に話さなくても大丈夫です。お茶を飲みながら、その場にいるだけでもいいんです。
認知症カフェが近くにないとき、合わなかったとき
近くに認知症カフェが無いこともあります。行ってみたけれど、合わなかったということもあると思います。
それでも大丈夫です。大事なのは、認知症カフェに行くことではなく、親御さんが外に出て、人と会う時間があることだからです。地域のサロンでも、体操の教室でもいいのです。
ご家族自身が行ける場もあります。介護者教室は、介護しているご家族に向けて、介護の専門職を呼んで講義をしてもらうところが多いです。腰を痛めないための体の使い方といった、その日から役に立つ内容もあります。
こうした集まりの案内は、市報などの広報誌や市区町村のホームページ、社会福祉協議会、公民館に出ています。一度のぞいてみると、思っていたよりいろいろな集まりがあります。
わたしの母は、自分が認知症になりたくない、歩けなくなりたくない、という思いで、いろいろな場に参加しています。認知症カフェではありませんが、それでも外に出て人と話す時間になっています。大事なのは、認知症カフェかどうかではなく、出かける先があることだと思います。
まとめ
答えの出ないことを抱えたまま家の中だけで過ごしていると、だんだん出口が見えなくなります。月に1度、1時間でも、同じところで困っている人がいると分かる時間があること。それだけで、少し息がつけることがあります。
お近くの認知症カフェの開催情報は、地域包括支援センターや市区町村の高齢福祉課で聞くことができます。まずは、のぞきに行ってみてください。
ここまでの話を、1枚にまとめました。
よくある質問
送り迎えはありますか?
カフェによって違います。送り迎えをしているところもあれば、していないところもあります。わたしが関わっていたカフェは、送り迎えはありませんでした。
足がなくて行きにくいときは、探すときに「送り迎えのあるところはありますか」と、地域包括支援センターや市区町村の窓口で一緒に聞いてみてください。
認知症カフェと、介護者教室やサロンは何が違うのですか?
認知症カフェは、ご本人・ご家族・地域の方・専門職が集まって、お茶を飲みながら過ごす場です。介護者教室は、介護しているご家族に向けて専門職が講義をするところが多く、サロンは地域の方が集まって過ごす場です。
ただ、呼び方も中身も地域によって違います。名前で選ぶより、案内を見て、行けそうなものに足を運んでみるほうが早いと思います。
毎回、続けて行かないといけませんか?
続けて行かなければいけない決まりはありません。行きたいときに行けば大丈夫です。
一度行って合わなかったとしても、それはそのカフェが合わなかっただけです。ほかの場所は、集まる人も過ごし方も違います。自分に合う場所がないか、いろいろと試してください。
最終的なご判断は、担当のケアマネジャーや専門家にご相談ください。
現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
この人について →