亡くなる前は苦しむの?看取り期に家族が知っておきたい体の変化
「最期は苦しむのだろうか」
親の看取りが近づいてきたとき、多くの家族の方がこの問いを心の中に持ちながら、それを誰にも言えずにいます。
今日は、そんな不安にそっと寄り添いたいと思って、この記事を書きました。 看取り期に体に起こる自然な変化のこと、苦痛があるときの対処のこと、そして家族にできることを、できるだけわかりやすくお伝えします。
看取り期に体に起こる、自然な変化
「看取り期」とは、命の終わりが近づいている時期のことです。 医学的には、数日〜数週間のスパンで語られることが多いです。
このころ、体はゆっくりと「休む準備」をはじめます。 大切なのは、これらの変化の多くは、自然なプロセスであるということです。
眠る時間がどんどん増える
最初に気づくのは、「眠っている時間がとても長くなった」という変化かもしれません。 声をかけても目を覚まさない、食事の時間になっても起きてこない——そういった状態です。
これは「意識が低下してきている」サインのひとつですが、苦痛を感じていないことが多いと考えられています。 むしろ体が休息に入っているイメージに近く、穏やかな状態であることが多いです。
呼吸の仕方が変わってくる
呼吸がゆっくりになったり、「チェーンストークス呼吸」と呼ばれる、だんだん深くなったり浅くなったりして、ときおり止まったように見える時間をはさむ呼吸が現れることがあります。
また、喉の奥でゴロゴロとした音がすることも。これは「死前喘鳴(しぜんぜんめい)」といって、のどの筋肉がゆるみ、唾液などがたまりやすくなることで起こります。
さらに最期が近づくと、あごや肩を動かして大きく息をするような「下顎呼吸(かがくこきゅう)」が見られることもあります。どれも、見た目には「苦しそう」に映ります。でもこのころには意識がとても低下しているため、本人は苦しさを感じていないと考えられています。 家族には呼吸の音や様子が気になるものですが、そばで見えているほど本人がつらいわけではない、と知っておいていただけたらと思います。
手足が冷たくなる、反応が薄くなる
血液が心臓や脳など重要な臓器に集中するため、手足の末端から冷えてきます。 皮膚の色が変わってきたり、呼びかけへの反応がなくなったりもします。
こうした変化も、体が最後のエネルギーを使っている自然な流れです。
苦痛がある場合は、遠慮なく相談を
「自然な変化」とは言っても、痛みや息苦しさが全くないとは限りません。 そのときは、担当の訪問診療や訪問看護に遠慮なく伝えてください。
訪問診療は、医師が自宅に来て診察・処方をするサービスです。 看取り期には24時間対応の体制を取っているところも多く、夜間や休日でも相談できます。
訪問看護師さんも、症状の変化を観察して、必要なときに医師へ連絡・調整してくれます。
痛みや苦しさには、医療用の鎮痛薬や鎮静の手段があります。 また、状態に応じて、点滴や酸素の調整が検討されることもあります。
「苦しそうだから、何かしてあげたい」と思ったとき——その気持ちを、チームに伝えることが大切です。
家族にできること——「そばにいる」だけでいい
「なにかしてあげなければ」と焦る気持ち、すごくよくわかります。 でも、看取り期においては、「そばにいる」ということが、すでに大きな意味を持っています。
声をかけ続けてください
意識が低下していても、聴覚は比較的最後まで保たれるとも言われています。 名前を呼ぶ、「そばにいるよ」と声をかける、昔話をする——それだけで十分です。
「聞こえているかどうかわからないけど」という気持ちでいいんです。
手を握る、触れてあげる
言葉でなくても、体の温もりは伝わります。 手を握る、額に手を当てる、背中をさする——そういった小さな接触が、本人の安心につながるとも言われています。
「完璧な介護」を目指さなくていい
看取りの時間は、「何かをしてあげる」時間ではなく、「いっしょにいる」時間です。 ご飯をちゃんと食べさせられたか、体をきれいにできたか——そういった「できた・できなかった」ではなく、 ただ、寄り添っていたという事実が、あとで家族の心の支えになります。
まとめ
亡くなる前について、家族からよく聞かれること
呼吸が止まったように見えて、とても怖いです。
「チェーンストークス呼吸」では、一時的に呼吸が止まったように見えることがあります。これは看取り期によく見られる変化のひとつで、多くの場合、本人が苦しんでいるわけではありません。ただ、判断に迷ったときや、様子が急に変わったと感じたときは、遠慮なく訪問看護師さんやお医者さんへ連絡してください。
食事や水分をとらなくなりました。無理にでも食べさせた方がいいですか?
看取り期に食べられなくなるのは、体が終わりに向けて休んでいく自然な変化です。無理に口に入れると、うまく飲み込めずにむせてしまい、かえって本人の負担になることがあります。「食べさせなきゃ」と気負わず、口をぬらす、氷のかけらで唇を湿らせるくらいで十分なことも多いです。点滴を使うかどうかも含めて、点滴はした方がいい?看取り期に家族が悩む選択についても参考にしながら、訪問診療や訪問看護のチームと相談してみてください。
あと、どのくらいなのでしょうか。
いちばん知りたくて、いちばん聞きにくいことですよね。正直なところ、「あと何日」と正確に言い当てることは、誰にもできません。ただ、眠っている時間の長さや呼吸、手足の冷たさといった変化から、見通しをある程度いっしょに考えることはできます。「あとどのくらいでしょうか」と、訪問看護師さんやお医者さんに遠慮なく聞いていいんです。心の準備をするためにも、大切な問いです。
最期の瞬間に、そばにいてあげられませんでした。悔やまれてなりません。
どうか、ご自分を責めないでください。ちょっと目を離したとき、家族が少し席を外したときに、静かに旅立たれる方は、少なくありません。最期の一瞬に立ち会えたかどうかよりも、それまでの日々、あなたがそばで過ごしてきた時間のほうが、ずっと大きな意味を持っています。
看取りの選び方に「これでよかったのかな」と迷う気持ちがあるなら、悩んで、迷って、みんなで話しあって決めたことだから… 【看取りのはなし】も、そっと隣に置いておいてください。あなたが選んだ道は、間違っていません。
看取りのことは、一人で考えていると不安がどんどん大きくなります。 担当のケアマネジャー、訪問看護師、訪問診療の先生——チームと話しながら、一緒に考えてください。 最終的なご判断は、担当のケアマネジャーや医師などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。
あなたが今、大切な人のそばにいようとしていること。その時間そのものに、大きな意味があります。
現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
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